「ひと夏のファンタジア」で知られるチャン・ゴンジェ監督の第2作。第13回全州国際映画祭で初公開され、韓国映画長編部門大賞と観客賞を受賞。さらに、世界最古の映画祭であるエジンバラ国際映画祭の学生批評家賞を受賞。“30代の夫婦が持つ現実の問題を誰もが共感できるテーマとして描きながら、監督のビジョンを明確かつ繊細に表現した”という全州国際映画祭の審査評価からも伺えるように、「眠れぬ夜」の美点は、 極めて日常的な風景を映し出しながら、監督独自の深い考察を通じて、ふたりの微妙な関係のスペクタクルを詳細に描いたことにある。だからこそ、結婚という普遍的な生活のひとつのエピソードが国内外の観客の共感を得たのではないだろうか。「十八歳」が監督自身が経験した10代の悩みだったとすると、二作目の「眠れぬ夜」は変わらず自己反映的な映画を作り続けているチャン・ゴンジェ監督の現在の生活が濃密に投影された作品だ。まだまだ恋愛時代のまま楽しい新婚生活を送る結婚2年目のカップル、ジュヒとヒョンス。日常にあるささやかな幸せを共有しながら、相変わらず情熱的なセックスと熱いまなざしを分かち合うふたりにも、例外なく訪れる現実の苦悩と葛藤……。