
2021年、ユーロスペースで行われたレトロスペクティブ「作家主義 相米慎二」。相米慎二を知らない若い観客がコロナ禍にもかかわらず押し寄せた。全13作品上映の中でもいちばんの動員を記録したのが「台風クラブ」。相米慎二のマスターピースである「台風クラブ」がついに「4K」で蘇った。近年、急速に国際的な再評価が高まっている相米慎二。2023年9月8日からニューヨークでの公開も行われ、その公開の波は世界へと続いている。冒頭、プールサイドでバービーボーイズの「暗闇でDANCE」をラジカセで鳴らし、踊り狂う少年少女たち。真っ暗と逆光のその映像が、よりリアルに、よりセクシャルに覚醒を遂げた。近年の上映で若い観客は「台風クラブ」を「ファンタジー」映画として見ていることが取材等でわかってきた。ギリギリの刹那、それでいて、どこか異次元の空間と時間を生きているような感覚。そして、性と死。そうした「リアル」「エロス」「ファンタジー」という要素は、相米自身が夢幻していたかもしれない「画像」となって、「4K」で新しく生まれ変わった。 全く新しい映画として、観たすべての者が(初見の者も含め)、新しい映像体験をすることであろう。