A PEOPLE CINEMA(エーピープルシネマ)

長谷川和彦 革命的映画術

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時代に、社会に、組織に反逆し続ける男たち。そんな若者たちの闘いを、タブー無き鮮烈なストーリーで描き出し、1970年代後半、映画界に革命を巻き起こした男、長谷川和彦。それは日活ロマンポルノ「性盗ねずみ小僧」の脚本(1972)から始まった。「濡れた荒野を走れ」(1973)。「青春の蹉跌」(1974)。「宵待草」(1974)。こうした脚本家としての優れた技量と才能を磨きつつ、30歳にして1976年、「青春の殺人者」で監督デビュー。「青春の殺人者」は実際に起きた事件をベースにした中上健次の小説「蛇淫」が原作。22歳の青年が発作的に父親と母親を殺害し、ふたりを海に捨てる。衝撃的なストーリーながら、映画に暗さは微塵もない。犯罪でも殺人でも悲劇でもなく、物語はその先に突き抜けたような「明快な、ある解放」にたどり着く。続く監督第2作は1979年「太陽を盗んだ男」。中学校の教師が原子力発電所に侵入しプルトニウムを強奪、自分のアパートで原爆を製造し、警察や政府に戦いを挑む。皇居や国会でのゲリラ撮影など全長2時間27分、見どころ満載。1作目と打って変わってエンタテインメントを極めた作りだ。一方、広島で生まれ、体内被曝した監督自身の体験も色濃く投影している。長谷川の「革命的映画術」とは、映画という自己との戦いの果てに、自ら答えを見出すこととも言えるかもしれない。

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<上映作品>

  • 青春の殺人者
  • 太陽を盗んだ男
  • 青春の蹉跌
  • 宵待草
  • 濡れた荒野を走れ
  • 性盗ねずみ小僧
  • 夢二

開催:2022年7月9日(土)~7月15日(金)
ユーロスペース(その後、横浜シネマリンにて上映)
主催・運営:パブリックアーツ
企画・宣伝:A PEOPLE

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