
韓国、古墳の街、慶州〈キョンジュ〉。この地を訪れた男・ヒョンと、そこに住む女・ユニ。韓国映画界を代表する名優、パク・ヘイルと、演技派に成長したスター、シン・ミナが演じる男と女が出逢ったとき、時を越えて消えたものがふたりを強く結びつける。監督は、チャン・リュル。初期作品「キムチを売る女」がカンヌ映画祭で受賞して以来、発表した作品「春の夢」「群山」など常に世界の映画祭で注目を集めてきた。「福岡」「柳川」など日本を舞台にした作品も手がけてきた。本作「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」は、チャン・リュルがこれまでと違う次元に入ったターニングポイントとなる一作。ここからチャン・リュルの新しい世界がはじまる。映像で、人の心を書く、映画作家の美しい傑作である。親しい先輩の訃報の知らせから、久しぶりに大邱(テグ)を訪れた北京大学教授のチェ・ヒョン(パク・ヘイル)。亡くなった先輩との7年前の旅を思い出したヒョンは、衝動的に、そこからほど近い慶州(キョンジュ)へと向かう。以前と変わらず、美しい緑に包まれた古墳が並ぶ街を懐かしむヒョン。彼にはどうしても確認したいものがあった。それは、茶屋にあった一枚の春画――。