幻の「ションベン・ライダー」4時間バージョンの全貌が明かされる。
相米慎二が自ら映画化を願った遺作シナリオ「風花」
9月27日(土)よりユーロスペースで「相米4K ふたつの創造 ふたつの感性」のタイトルのもと、「ションベン・ライダー 4Kレストア版」、「風花 4Kレストア版」が公開される。
初期のもっとも過激で過剰な一作として語り継がれる「ションベン・ライダー」。
儚くも美しく、そして、新しい息吹が芽生えていた遺作「風花」。
公開に合わせ、1冊の書籍が刊行される。
「相米慎二 ふたつの創造 ふたつの感性
ションベン・ライダー
風花
完全シナリオ収録」
今回の特集上映のパンフレット的な側面をもつが、見逃せないのが「完全シナリオ収録」だ。
「ションベン・ライダー」は2時間に満たない作品である。
あまりのカットのため、物語が繋がらず、難解と言われ続けてきた。
しかし、オール・ラッシュでは“4時間版”が存在していた。
その内容について、本書から一部を伐採すると、
「『ションベン・ライダー』って、東京から横浜に行く。それから、熱海に行く。熱海に行ったら次は名古屋へ行く。名古屋に行ったら次は尼崎に行って甲子園に行く。そして、横浜に戻ってくるという話です、本来は。それが“熱海編”なんか、ばっさり切られているからね。熱海のヤクザの別荘に行くときに、ブルースがダンプの前に出てくるシーンとか、本当によかったんですけどね。ない。熱海のお祭りのシーンも全部切っちゃった。尼崎もほとんどないんですよ……」(本書の榎戸耕史インタビューより)
今回、榎戸さんからお借りした貴重な「初稿」バージョンのシナリオを掲載する。
これにより難解と言われた「公開版」とは違う、「ションベン・ライダー」本来の「物語」が明かされる。
そこには、撮られなかった「エピローグ」も……。
“幻の4時間バージョンはなぜ、観ることができないのか”これについても榎戸に取材している。
「ションベン・ライダー」公開から42年後に語られる真実――。
そして、「風花」のシナリオも収録。
今作は相米慎二が珍しく自分からこの原作を映画化したいとプロデューサーに声掛けして始まった企画である。
かつて榎戸は取材に対し「『風花』は、この原作で『ラブホテル』のような映画がつくれると相米さんは考えていたようだ」と発言している。
原作がどう改変されているかは、映画ジャーナリスト・金原由佳による本書に掲載された「風花」論を読んでほしい。
映像的な面を多く語られる相米だが「風花」においては、その「物語」へのアプローチにも注目したい。
そして、新しい相米スタッフが多数参加した「風花」からは今回の「4K版」を監修した、当時のチーフ助監督・髙橋正弥のインタビューも掲載している。
そして、もちろん、俳優陣のインタビューも。
「ションベン・ライダー」から永瀬正敏、河合美智子。
「風花」から小泉今日子、浅野忠信。
読んでから観ても、観てから読んでも、相米慎二の「創造と感性」に深く触れられる一冊となっているだろう。
定価:2,970円(本体:2,700円+税10%)
発行:A PEOPLE株式会社
販売:ライスプレス
先行発売:9月27日(土)よりユーロスペースにて先行販売
発売:10月10日(金)よりAmazonほか一部書店にて発売
9月27日(土)よりユーロスペースにてロードショー、全国順次公開
*MC:小林淳一(A PEOPLE編集長)
会場:ユーロスペース
料金:全席指定 2,500円均一